今日読み終えた本

超バカの壁 (新潮新書 (149))

超バカの壁 (新潮新書 (149))

’03年の発行以来いまだに売れ続けている国民的大ベストセラー『バカの壁』の続編ということらしい。
前書では、<我々人間は、自分の脳に入ることしか理解できない。学問が最終的に
突き当たる壁は自分の脳である。著者は、この状態を指して「バカの壁」と表現する。知りたくないことは自主的に情報を遮断し、耳を貸さないというのも「バカの壁」の
一種。したがって「話せばわかる」なんて大うそ。その延長線上には民族間の戦争や
テロ、犯罪、宗教、科学、教育、経済の軋轢がある。>というのが論旨だったように
思う。
本書も前書同様、養老先生の独白を編集者が文章にまとめるという体裁になっている。ご自身が著したものならば、まだ筆の調節とか押さえがきくだろうが、独白であるがゆえに論旨には遠慮がない。さらに本書は、テーマを「若者の問題」、「自分の問題」、「テロの問題」、「男女の問題」、「子どもの問題」、「お金の問題」・・・など現代の
日本社会が抱える身近な12の具体的な項目に分けているだけに、前書の延長線上で容赦なくそれぞれの問題をばっさりと斬る、痛快きわまりない養老節が随所に見られる。たとえば「靖国の問題」のくだりでは、「本来はいちいち細かくいう必要もないくらいあほみたいな話です。」と言い切っている。
本書の魅力は「今の日本社会には、明らかに問題がある。どんな問題があるか。私はものの考え方、見方だと思っている。そこがなんだか、変なのである」という観点から
ホンネで述べられている養老節なのだろう。私たちはそれらを参考に、現代を生きる
日本人が心の「壁」を超えるためのヒントを得ることができるような気がする。