今日読み終えた本

wakaba-mark2006-07-07

眠れぬイヴのために〈上〉 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

眠れぬイヴのために〈上〉 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

眠れぬイヴのために〈下〉 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

眠れぬイヴのために〈下〉 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

本書は、それまでペイパーバック作家だったジェフリー・ディーヴァーが、’94年に
初めてハードカバーで発表した作品であり、アメリカを代表する“モダン・ホラー”の
巨匠、スティーヴン・キングに絶賛されて注目を浴びた出世作でもある。
記録的な嵐が近づく夜、巨漢の妄想型精神分裂病統合失調症)患者、マイケルが
精神病院から脱走した。彼は半年前に起きた惨殺事件、通称「インディアン・リープ事件」の犯人だった。彼は裁判の証言で自分を有罪にした女性教師リズのもとへ、狡猾な手段で追手を欺き、一歩一歩着実に近づいてゆく。
一方、それぞれの思惑から、嵐のなか、執拗にマイケルを追う彼の主治医、賞金稼ぎの元警官、そしてリズの夫。
追う者と追われる者、個々のドラマやエピソードが過去・現在に渡り綿密に書き込まれ、臨場感たっぷりに、サスペンスと謎を盛り上げてゆく。
はたしてマイケルはリズに恨みを晴らそうとしているのか・・。そもそも「インディアン・リープ事件」とは・・、そしてその真相は・・。また、リズとその妹との謎めいた確執のわけは・・。ついにマイケルはリズの家にたどり着き、相対する。そこで恐るべき真実がやっと明らかになる。
私は、たった一晩の出来事ながら、延々と引き伸ばされるストーリー展開にジリジリ
してしまった。しかしこの宙吊り感覚こそが、この物語の読みどころなのだろう。
本書は、ディーヴァーが、後に“ノンストップ・ジェットコースター・サスペンス”の名手
としての地位を確立するきっかけをつかんだ、“モダン・ホラー・サスペンス”である。