今日読み終えた本

監禁 (Hayakawa Novels)

監禁 (Hayakawa Novels)

ジェフリー・ディーヴァーが『眠れぬイヴのために』の次に書いた作品。
本書には、アーロンという狂信的なサイコパスが登場し、重要な役割を演じている。
アーロンはセラピストを装い、17才のミーガンと面談し、洗脳といってもいいほど巧みに、家族や友人に対する“怒り”を誘導して家出の書置きを書かせ、それと見せかけ
誘拐、人里はなれた教会に監禁する。彼はミーガンを2日後の‘聖金曜日’に殺害するつもりなのだ。
ミーガンの父親テイトは、家出とはどうしても納得できず、別れた妻、知り合いの刑事、ミーガンの恋人、元カレたちの助けを借りて捜索を開始する。
彼らはアーロンを着実に追い詰めてゆくのだが、恋人、元カレ、刑事はアーロンの
魔の手にかかってしまう。
なぜアーロンはミーガンを拉致したのか・・・、やがてこの誘拐劇には5年前の冤罪事件が絡んでいることが分かる。そしてアーロンは、過去にも無免許のセラピストとして何人もの患者に対して、無理やり“罪悪感”を引き出し、自殺や自傷行為に追い込んでいた。
アーロンはただの狂人ではなく、この日のために周到な準備と綿密な計画を練り上げてきたのだ。
ラストで、自力で脱出をはかるミーガンと、やっと教会にたどり着いたテイト、そして
アーロンの3者が合間見えた時、思いもかけない真実が明かされる。
本書の特長は、“先が読めない意外性”、“予断を許さないストーリー展開”、“スピード感のある短い章立て”、そして何より“インパクトのある犯人”である。
ともあれ、ディーヴァーは、前作『眠れぬイヴのために』と本書をはずみとして、続く傑作『静寂の叫び』、さらに、<リンカーン・ライム>シリーズ第一作『ボーン・コレクター』へと“化ける”のである。