今日読み終えた本

wakaba-mark2006-12-22

わが心臓の痛み〈上〉 (扶桑社ミステリー)

わが心臓の痛み〈上〉 (扶桑社ミステリー)

わが心臓の痛み〈下〉 (扶桑社ミステリー)

わが心臓の痛み〈下〉 (扶桑社ミステリー)

これもマイクル・コナリーのノン・シリーズものの傑作といわれている。
’99年に、アンソニー賞、マカヴィティ賞、フランス推理小説大賞の三賞を受賞している。日本でも、翻訳された’00年、「このミステリーがすごい!」海外編第6位、「週刊文春ミステリーベスト10」海外部門第9位にランクインしている。また、’02年には、
クリント・イーストウッドがプロデュース・監督・主演の三役をつとめて映画化もされた。
(写真右上・『ブラッド・ワーク』というタイトルは原題)
重い心臓病のため、FBIを早期退職したマッケレイブは、9週間前に心臓移植の手術を受けたばかりだった。退院した彼の元にある日、美しい女性の依頼人が現れる。
コンビニ強盗事件に巻き込まれ、命を落とした妹のために、捜査をして欲しいという。事件は未解決で、犯人も挙がっていなかった。被害にあった妹がマッケレイブの移植された心臓のドナーだったことを告げられ、彼は術後の不完全な体調で、しかも主治医の反対を押し切って捜査を始める。
マッケレイブは、所轄刑事の反感を受けながらも、かつての人脈をフルに利用して、
事件を時系列順に当たるなどの地道な捜査をおこなう。その結果、驚くべき事実が
明らかになる。
ちょうど物語の後半を過ぎたあたりでストーリーは急転回を見せ、一気に緊迫の度合いを増す。犯人の隠された動機が判明し、他の場所で起こった一見無関係なホールドアップ強盗殺人やマフィアの仕業のように見えた殺人が、実は綿密に準備された三つの連続殺人事件だったのだ。そして犯人とその真の目的が分かった時、マッケレイブは・・・。
本書は、ミステリーとしての謎解きのスリルと、科学捜査のリアリティーを併せ持った、文字通り心身ともに極限状態に置かれた主人公の、血を吐くような捜査を描いた
超一級のハードボイルドである。