今日読み終えた本

wakaba-mark2007-02-19

ミスティック・リバー (ハヤカワ・ミステリ文庫)

ミスティック・リバー (ハヤカワ・ミステリ文庫)

’03年に、クリント・イーストウッド製作・監督・音楽によって映画化され(写真右上)、
アカデミー賞で主演男優賞:ショーン・ペン助演男優賞ティム・ロビンスと、主要
2部門でオスカーを受賞した。
’01年、「週刊文春ミステリーベスト10」海外部門第2位、「このミステリーがすごい!」海外編第10位にランクインして、さらに’02年度のアンソニー賞のベスト・ノヴェルにも選ばれたデニス・ルヘインの代表作である。
ボストンの貧困地区。ジミー、デイブ、ショーンの3人組が路上で遊んでいると、不審な車が少年たちの傍に停まる。警官を名乗る2人連れは、3人の内からデイブだけを車に乗せ、静かに走り去った。四日後、デイブは帰ってきたが、心と体に大きな傷を負っていた。
それから25年後、同地区で殺人事件が発生。被害者はジミーの娘だった。捜査を
担当するのは、今は刑事となったショーン。やがて捜査線上にデイブの名が浮かぶ。事件は3人の過去を弄ぶようにして、非情な物語を導いてゆく・・・。
幼なじみだった3人の男の物語を、ひとりは被害者の父親、ひとりは捜査する側の
刑事、そしてもうひとりは容疑者として、重厚なタッチで描くミステリーだ。本書には
謎解きのスリルも用意されているが、ストーリーとしては、登場人物たちの心象を見つめることに主眼が置かれている。彼らの心に渦巻く家族への愛憎、日常への苛立ち、癒せぬ過去。これらの均衡が崩れたとき、人間はいかに愚かな存在となるか・・・。
人生には辛いことや哀しいことがたくさんあり、しかも正しいことが何なのかも分からない。指針はどこにもない。その真実を本書は鮮烈に描き出している。