今日読み終えた本

シャッター・アイランド (ハヤカワ・ミステリ文庫)

シャッター・アイランド (ハヤカワ・ミステリ文庫)

1954年、ボストン沖の孤島にある、精神を病んだ犯罪者のための病院からひとりの女性患者が姿を消した。嵐の中、相棒とともに捜査をする連邦保安官、テディ・ダニエルズの前で、次々と起こる不可解な出来事。そして明かされる想像を絶する真相
とは・・・。
本書の邦訳ハードカバー版は、巻末の解決編が“袋とじ”になっていて話題を呼んだ。名作『ミスティック・リバー』の作者、デニス・ルヘインが、大胆な仕掛けで新境地を切り開いたとされるミステリーである。
嵐に閉ざされた孤島、密室、人間消失、暗号、不可思議な事件の続発と、謎解きの
スリルはありそうだが、すわ本格ミステリーか、と思って読んでいると、そうでもない。
では、捜査小説か、冒険小説かというと、そうでもなさそうである。途中から、なんかおかしいぞと思って読み進み、“袋とじ”部分に入ってゆくと、とんでもない“どんでん返し”が待っていて、見事に“騙されて”いたことに気づく。しかもそう言われてみれば巧みな伏線が冒頭から張り巡らされていて、すべてがラストの“真相”にぴたりと当てはまるのである。
本書は、ゴシック・ホラーの雰囲気が漂わせながら、そして見事に人の心を揺さぶる
快作である。