今日読み終えた本

ハバナの男たち 上 扶桑社ミステリー ハ 19-12

ハバナの男たち 上 扶桑社ミステリー ハ 19-12

ハバナの男たち 下 扶桑社ミステリー ハ 19-13

ハバナの男たち 下 扶桑社ミステリー ハ 19-13

アール・スワガー、1953年のキューバハバナに現れる。
スティーヴン・ハンターの“アール・スワガー・サーガ”3部作の第3作。
本書で、‘タフガイ’アール・スワガーとその息子で名うての‘スナイパー’ボブ・リー
・スワガーと連なる、7作におよぶ壮大な一大“サーガ”はいったん終末を迎えた。
本書でアールは、地元アーカンソー州選出の下院議員エサリッジのボディガードとしてキューバ視察に同行することになる。だが、それは表向きに過ぎず、実はカストロを抹殺する“ビッグノイズ作戦”のために駆り出されたのだ。その頃キューバは、アメリカの傀儡政権であるバティスタ大統領の独裁下にあり、イタリア系マフィアなどのギャング組織が進出して、違法行為に手を染めたりしていた。
本書の物語の中心は、アール・スワガーというより、カストロである。今でこそ、高齢のため健康状態が懸念されるカストロだが、当時はまだ26才、ようやく当局に目をつけられ始めたところだ。彼を軸に、ソ連の秘密工作員アメリカ大使館、ギャングのボス、アメリカから来た殺し屋、キューバ軍情報部などが入り乱れて謀略戦や活劇の限りを尽くす。
アールも、いやおうなくその中に巻き込まれてしまうのである。
本書は史実と創作が錯綜し、アールをはじめ、架空の人物と実在の有名人たちが
物語のなかで絡み合いつつ、多才なエピソードとともに展開してゆく、シリーズとしては異色の、国際謀略小説である。
しかし読者としては、ストーリーの中心をあくまでアールに据えて、このシリーズですっかり定着した、彼のガン・ファイトをはじめとするアクション活劇をもっと堪能したかった。