今日読み終えた本

告解の日〈上〉 (新潮文庫)

告解の日〈上〉 (新潮文庫)

告解の日〈下〉 (新潮文庫)

告解の日〈下〉 (新潮文庫)

弟ダニエルは、ヴァチカンのローマ教皇代理枢機卿暗殺の罪に問われ、さらにバス
爆破事故で死亡した。遺体確認のためアメリカからローマへ渡り、それが弟のもの
ではないと見破った兄ハリーは、何者かによって拉致され、拷問されたあげく、危うく
殺されそうになる。そればかりか、ローマ警察の警部の殺害容疑で指名手配までされることに・・・。弟を捜しながらも逃亡生活を余儀なくされるハリー。やっと邂逅するハリーとダニエルだが、ふたりは、イタリア国家警察ばかりか、ヴァチカン警察からも、そして世界で最も凶暴なテロリストからも追われる身となっていた。
ふたりは、ヴァチカンの恐るべき壮大な陰謀−中国に新たな「神聖ローマ帝国」を建設すること−の渦中に巻き込まれたのだ。中国では大規模な水道汚染によって数万人が死ぬという惨事が起こる。これこそがヴァチカンの狂気の計画だった。
アラン・フォルサム2作目のこの大長編は、ふたりの兄弟、特に兄ハリーの行動を中心に語られてゆく。主な舞台はヴァチカン市国、コモ湖を中心とした北部イタリア各地、
アメリカ、中国と幅広く、ヴァチカンの謀略のスケールが大きいので圧倒されがち
だが、そんなことはお構いなし、守るべき者たちと阻むべき策謀、逃亡生活から一転
して反撃に打って出るハリーの姿は、ある種ヒーローものを観るようで、超人的でさえある。
本書は、終始一貫、短い章立てで、かつ三人称多視点で綴られており、アクション、
スピード、スリルに満ちた超一級の冒険小説である。