今日読み終えた本
- 作者: 折原一
- 出版社/メーカー: 祥伝社
- 発売日: 2007/11/01
- メディア: 単行本
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あり、書下ろし最新長編である。今回は、迷ったら生きては出られない「樹海」を舞台にしており、祥伝社で過去に文庫オリジナルで発表された『樹海伝説』(’02年)、『鬼頭家の惨劇』(’03年)の、いわば<樹海シリーズ>の完結編といえるストーリーになっている。
引き裂かれた恋人たちは、樹海の奥に立つ、昔、発狂した作家が一家を惨殺したと
いう山荘を目指して旅行会社が主催する「ミステリー・ツアー」に参加する。迫りくる見えざる罠に、ひとり、またひとりと脱落して、「消えて」ゆくツアー客。ざっとこんなストーリーが、表からでも、また本をひっくり返して裏からでも読めるような装丁になっている。
そして最後の袋とじを明けた時、封印された部屋で何かが起きて、すべての真相が
明らかになる。
ざっとそんな趣向であるが、いまどき手間ひまかけてこんな妙な本のつくり方をするのは折原一くらいだろう。サイコパスのシリアルキラーなど、状況説明がそれほどされていないが、「樹海」の恐怖がすべてを飲み込んでしまうのだろう。
本書は、折原ファンでも、そうでない人でも理屈抜きで、時を忘れて楽しめる一冊
である。