今日読み終えた本

ダイアルAを回せ (KAWADE MYSTERY)

ダイアルAを回せ (KAWADE MYSTERY)

『クライム・マシン』(’05年)、『10ドルだって大金だ』(’06年)に次ぐ、ジャック・リッチーの日本オリジナル編集による3冊目の短編集。’58年から’83年までの間に、
EQMMなどアメリカの各ミステリー誌に発表された15の短編を収録している。
本書でも、奇抜な着想とツイストのきいたストーリー、軽妙なユーモア、無駄を徹底的に削ぎ落とした“リッチー・タッチ”は健在だ。
以前からの愛読者としてうれしいのは、シリーズ・キャラクターである私立探偵カーデュラものとターンバックル部長刑事ものが、それぞれ3編と4編収録されていて、その
ユニークな活躍ぶりがたっぷり堪能できることだろう。また、ターンバックルの原型と
なったバックル部長刑事が登場する最後の1編はまた違った味わいがあり、興味深く
読んだ。
本書は、ジャック・リッチーならではの“読んでいるあいだはただただ面白く、読み終わった後には何も残らない”傑作短編集である。