今日読み終えた本

氷の家 (創元推理文庫)

氷の家 (創元推理文庫)

ミステリーの新女王といわれるミネット・ウォルターズのデビュー作。
英国におけるミステリーの頂点、「CWA(英国推理作家協会)賞」の’92年度、ジョン
・クリーシー記念賞(最優秀新人賞)受賞作である。日本では’94年に翻訳・発表
され、その年度の「このミステリーがすごい!」海外編第7位にランクインしている。
10年前に当主が失踪したストリーチ邸の敷地内の氷室で、正体不明の惨死体が
発見される。村人から“三人の魔女”と呼ばれる現在の当主たち・・・。そして、そのうちのひとり、アンが何者かに襲われる。
失踪した当主の行方は?惨死体の正体は?アンを襲ったのは誰なのか、その目的は?警察当局の懸命の捜査にもかかわらず、ひとつの謎が解けそうになると、また
新たなハードルがあらわれたり、いつまで経ってもいくつもの謎が解決されなかったり、展開してゆくストーリーの行方は混迷を極めるばかりだ。
さすがはのちにCWA(英国推理作家協会)賞やMWA(アメリカ探偵作家クラブ)賞の常連作家となるだけの強者。プロットいい、キャラクター造詣といい、これがデビュー作とは思えないほどの充実ぶりである。それでいて一気読み必至のテンポのよさもある。
また、なるほど英国のミステリーらしく、さりげないユーモアとウイットがちりばめられていたり、女流作家らしい細やかな女心やロマンスが描かれていたりするのも読みどころのひとつである。