今日読み終えた本

背の眼〈上〉 (幻冬舎文庫)

背の眼〈上〉 (幻冬舎文庫)

背の眼〈下〉 (幻冬舎文庫)

背の眼〈下〉 (幻冬舎文庫)

’04年度「第5回ホラーサスペンス大賞」特別賞受賞作であると共に、本格ミステリー界注目の俊英、道尾秀介のデビュー作である。
ホラー作家道尾は、観光で訪れた福島県の田舎、白峠村で不気味な声を聞き、恐怖のあまり東京へ逃げ帰る。この周辺で4人の児童連続失踪事件が発生しており、最初の子供が殺害されて、頭部だけが発見されていたのだ。あの声はそのことに関係している・・・。
一方、道尾が相談に訪れた、大学時代の友人『霊現象探求所』の真備(まきび)の元には、白峠村周辺で写真を撮った、職業・年齢・時期もまったく別々で、まったく関連性のない4人の別々の被写体の背中にふたつの目が写っている写真と、被写体の人物
たちが皆自殺しているといったファイルがあった。
真備は、自らの興味と事件の真相を求めて、助手の北見と道尾を伴って現地に向かう。村に伝わる血塗られた過去に根ざした「天狗伝説」は何を意味するのか・・・。
白装束の女性は・・・。たったひとりで民宿をきりもりする主人の悲惨な過去とは・・・。
そして、3人を待ち受けていたのは悲壮な事件の真実だった。
本書は、「ホラサス大賞」応募作ということでホラー色が強いが、実際は、探偵役もワトスン役もしっかりと配されており、伏線も巧みで、最後に、ある一定のレベルのロジックによって謎が解明されるスタイルをとっており、科学的には解明できない超常現象を程よく組み込ませた本格ミステリーといったほうがいいだろう。