今日読み終えた本

wakaba-mark2008-03-03

約束の地 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 110‐3))

約束の地 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 110‐3))

ロバート・B・パーカーは、現在も続く私立探偵スペンサー・シリーズの第3作である
本書で、アメリカにおけるミステリーの最高峰、MWA(アメリカ探偵作家クラブ)賞の
’77年度ベスト・ノヴェル(最優秀長編賞)を受賞した。
ストーリーは、スペンサーがある中年の男から、家出した妻を捜して欲しいと依頼されるところからはじまる。その妻は、物語の比較的早い段階で見つかるが、やがて彼女はウーマンリブ運動家たちが武器を手に入れる資金調達を目的とした銀行襲撃事件に巻き込まれ、スペンサーに助けを求める。一方、夫の方も事業の資金を街の悪徳
高利貸しから借りていて、厳しい取り立てにあっていた。
スペンサーは両方の問題を一度に解決する奇策に打って出るのだが・・・。
本書でパーカーは、誰にでも起こり得る中年夫婦の危機と、その解決方法を、スペンサーの、時にはハードな私立探偵、時にはソフトなカウンセラーのような言動を通して鮮やかに描いている。スペンサーは元ボクサーという肉体派だが、読書家で、その
薀蓄もなかなかのものである。
また、スペンサーとその恋人スーザン・シルヴァマンとの恋愛関係にも重点を置き、
探偵の私生活を克明に描くという従来のハードボイルドにはない要素を加味して、
ロングセラー・シリーズとなっているところも見逃せない。