今日読み終えた本

緊急の場合は (ハヤカワ文庫NV)

緊急の場合は (ハヤカワ文庫NV)

本書は、『ジュラシック・パーク』のマイクル・クライトンがジェフリイ・ハドスン名義で発表したデビュー作である。アメリカにおけるミステリーの最高峰、MWA(アメリカ探偵作家クラブ)賞の’69年度ベスト・ノヴェル(最優秀長編賞)を受賞している。
産科医アーサー・リーが殺人罪で逮捕された。違法とされている妊娠人工中絶手術で患者を死なせてしまったというのだ。
友人で病理医のジョン・ベリーは、彼の無実を信じ、真相を探るべく、忙しい職場を
放棄して、死んだ女子学生カレンの関係者をあたり始める。リーでなければ、誰が手を下したのか。次第に明らかになるカレンの実像・・・。しかし彼女は有力な心臓外科医の一人娘だった。その父親からの黒い圧力を受けながら、さらに執拗な調査を続ける
ベリーだったが・・・。
ハーバードの医学部出身のクライトンならではの専門的な医学の世界のリアリティーを随所にちりばめ、緊迫感を高めながらストーリーは進行してゆく。
本書は、ベリーのおもに四日間にわたる奮闘ぶりを描いた医学サスペンス・ミステリーだが、根本で、麻薬・ロック・セックスなど現代の若者の生態・問題もなまなましく関係
している点も見逃してはならないだろう。