今日読み終えた本

魔女は夜ささやく〈上〉

魔女は夜ささやく〈上〉

魔女は夜ささやく〈下〉

魔女は夜ささやく〈下〉

’03年、「このミステリーがすごい!」海外編第3位、「週刊文春ミステリーベスト10」
海外部門第4位にランクインした、ロバート・マキャモンが前作から10年ぶりに発表
した、読み応え満点の大長編。
時は1699年5月、舞台はまだイギリスやスペインの植民地だったアメリカ南部に新しく開拓された町ファウント・ロイヤル。この町で魔女騒動が持ち上がり、判事と20才の青年書記マシューが派遣される。彼らが見た町は荒れ果て、入植者たちも見切りを
つけはじめていた。すべては魔女のせいだ。そして魔女といわれる混血の美女レイチェルは、町の司祭と夫を惨殺したかどで牢獄に捕らえられていた。さらに彼女は、魔物たちと交わるところを複数の町民に目撃されていた。
判事は町民の証言を元にレイチェルに有罪判決を下すが、マシューは納得のいかない思いを抱く。彼は、レイチェルの無罪を信じ、持ち前の好奇心で事件の背景に迫ってゆく・・・。
やがて彼が抱く“なぜ”は魔女騒動の秘密とミステリアスな謎の真相をロジカルに合理的に解き明かしてゆくのだ。
本書は、悪魔の存在が信じられていた時代、魔女として捕らえられた女性を救うべく、上司たる判事に背き、異端である合理主義精神で戦う青年マシューを主役とした物語であるが、ファンタジックでミステリアスな空気、サスペンスと謎解き、事件によって
成長してゆくマシューの姿、そして爽快な閉幕・・・。どれをとっても圧倒的な物語の力を見せる傑作である。