今日読み終えた本
- 作者: トルーマンカポーティ,Truman Capote,佐々田雅子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/06/28
- メディア: 文庫
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1965年に発表された作品だが、カポーティは本書の執筆に先立ち、3年を費やして
ノート6000ページに及ぶ資料を収集し、さらに3年近くをかけてそれを整理したと
いわれている。
この作品の価値は、著者の主観を一切排除して、事件を、事件前夜から、犯人二人組が絞首台を上りつめるまで詳細に、そして多角的に再現し、あくまで客観的にひとつの物語として編み上げた点にあると思う。実際、物語は加害者、被害者、捜査官はもちろんのこと、関係する家族など周辺の人々の会話や証言、手紙など三人称多視点で
成り立っている。
その多層に織り込まれたドラマは、それだけでも、読むものを圧倒する。
私はセンセーショナルな犯罪もののドキュメンタリーを予想していたが、そこにあったのは、繰り返し描かれる“家族の絆”のようなものであった。
そのあたりが本書を、40年以上経った今でも、圧倒的な迫力を携えながら、読む者の
心の奥底に迫ってくる名著にしているのだろう。