今日読み終えた本

ラジオ・キラー

ラジオ・キラー

デビュー作『治療島』の興奮が再びよみがえる・・・。セバスチャン・フィツェックの第2作である本書は、期待通りの傑作だった。
ベルリンのラジオ局が人質を取った男ヤンに占拠された。ヤンの要求は、8ヶ月前に交通事故で既に死んだ婚約者を連れてくることだった。
彼は公共電波を使い、あるゲームを始める。無作為に電話をかけて相手がキーワードを正確に言わないと人質をひとりずつ射殺するというのだ。ベルリン警察の交渉人で犯罪心理学者のイーラ・ザミーンが急遽現場に駆り出される。
しかしイーラは深い心の傷を負って、まさにその朝自殺しようとしていたほど、心身
・公私共にボロボロの状態だった。
ストーリーは、警察側やリスナーが固唾を呑む中、殺人ゲームに興じるヤンとイーラの息詰まる攻防を軸に描かれるのだが、そこはフィツェック、二転三転し、次々と予想外の展開をみせるプロット、どんでん返し、そして思いもよらぬ結末と、まさに一気読み
必至のスピード感とサスペンスに満ち満ちている。
本書は、あえて言えば、ジェフリー・ディーヴァーを彷彿とさせるドイツ発“ノンストップ
・ジェットコースター・サスペンス”といえるだろう。