今日読み終えた本

凍れる森 (講談社文庫)

凍れる森 (講談社文庫)

C・J・ボックスによる<ワイオミング州猟区管理官ジョー・ピケット>シリーズ邦訳
第2弾(デビュー作『沈黙の森』と本書の間に未訳の作品が1作ある)。
冬の嵐が近づく中、ジョーはエルクの大量殺戮現場に遭遇する。違法ハンターは森林局の役人だった。ジョーは彼を捕らえるものの逃げられてしまい、ようやく追いついた時には何者かによって殺害されていた。世捨て人の鷹匠が容疑者として逮捕されるが、ジョーは合点が行かない。
しかし農務省森林局のキャリアウーマンが立ちはだかり、無能な保安官事務所、
好戦的なFBI捜査官も登場し、さらに反政府主義のサバイバリスト集団「独立市民」が国有林の一部を占拠し、事態は複雑な様相を呈し始める。そんな時、また土地管理局の役人が襲われる。
本書のメインストーリーは自分勝手な官僚組織を向こうにまわし、正義を貫き通す
ジョーの物語であるが、ジョーの里子エイプリルに対する愛情もサイドストーリーとして見逃せない。愛する家族とワイオミングの自然を守るため、普段は心優しいジョーが
雪嵐のなか、命を懸けて闘う姿は、読む者の心を揺さぶる。実際に最後の100ページほどは、私もジョーに完全に感情移入してしまい、一気呵成に読みきった。
本書は、現代西部が直面する問題を、ジョーという等身大のヒーローを通して訴えた感動作である。