今日読み終えた本

霧のソレア

霧のソレア

’07年度「第11回日本ミステリー文学大賞新人賞」受賞作。
289人の乗員乗客を乗せ、太平洋上でテロリストが仕掛けた時限爆弾により大破したジャンボジェット機。パニックとなる機内。ひとり奮闘する女性副操縦士。それを襲う
アメリカ空軍の電子戦機による電波妨害・・・。次々と起こるアクシデント・・・。
果たして無事に成田空港に着陸することができるのか・・・。
ストーリーは機内だけにとどまらず、アメリカ政府、CIA、日本政府、北朝鮮と、次々
壮大な闇の権力闘争をあらわにしてゆく。そう、本書はただの航空パニック小説には
とどまらない大きな陰謀も包含しているのだ。
また作品内に描かれたジャンボジェット機の構造や空港内の機密事項、航空管制システム、パイロットをはじめとしたクルーたちの業務内容やミッションなど、その航空関連の綿密な描写にも圧倒される。さらには自衛隊アメリカ空軍の描写にも徹底的に
ディテールを追求している。それらが、フィクションでありながら作品のリアリティを
深め、私たちが知らない情報満載のエンターテインメントに仕上がっている。
本書は他に類を見ない、スリルに満ちた航空パニック&国際謀略小説である。