今日読み終えた本

償い (幻冬舎文庫)

償い (幻冬舎文庫)

全国の書店員のおススメによって、版を重ねて、静かなベストセラーになっている
作品。
自らが家庭をかえりみなかったため、幼いわが子の命を救えず、妻に自殺されてしまった36才の脳外科医・日高。ホームレスにまで身を落とした彼が行き着いた、東京のベッドタウンで起こった、殺人や無理心中や自殺やホームレスへの集団暴行といった社会的弱者ばかりがかかわる事件の数々。
日高はあるきっかけから、それは連続殺人であり、犯人は、彼が13年前に命を救った少年・真人ではないかと疑い始める。
彼は知り合いになった刑事の依頼のもと、調査を始めるが・・・。
本書は、通常のミステリーのような犯人探しや謎解きの物語ではない。家族を失い、
職場を失ってホームレスになった日高と、他人の心の悲鳴が聞こえてしまうという特殊な能力のために、闇のような絶望にとりつかれている15歳の真人の、邂逅とふれあいと救済の物語なのである。それゆえに読後に深い感動と余韻を残すのだろう。