今日読み終えた本

wakaba-mark2008-07-20

暗殺者 (上) (新潮文庫)

暗殺者 (上) (新潮文庫)

暗殺者 (下) (新潮文庫)

暗殺者 (下) (新潮文庫)

ロバート・ラドラムが’80年に発表した、映画「ボーン・アイデンティティー」の原作。
瀕死の重症で海から救助された男は、いっさいの記憶をなくしていた。
この物語は何カ月ものあいだ、自分の正体と素性を知ろうと死に物狂いで闘う男の
サスペンス・スリラーである。
身体の傷が癒えた男が、チューリッヒへ飛んで、自分の名前がJ・ボーンだと判明するところからストーリーは一気に緊迫の度合いを高め、読者は、ラドラムの卓越した
ストーリーテリングに乗せられ、いつしかボーンに感情移入しながらその行動を一緒になって追ってゆくことになるのだ。そしてそれは、終結までずっと持続する。
自分の過去が次第に明らかになってゆくにつれ、ボーンは自分の恐ろしい正体に
悩む。そしてボーンはいやおうなくアメリカのCIA、ペンタゴンなど国家の陰謀と策謀が渦巻く世界へとのめりこんでゆくのだった。
さらに彼をつけ狙う当代屈指の暗殺者カルロス・・・。
本書は、映画とはまた違った、いや、それをしのぐ「ほかのミステリ作家6人が束になってもかなわないほどのスリルとサスペンスが詰め込まれている」というニューヨーク
・タイムズの書評どおりのページ・ターナーである。
また、いったんはボーンの人質となりながらも、彼に命を救われて愛してしまう経済学者マリーとの恋愛は、このスリルに満ちた名作にほのかな色を添えて、ボーンの救いとなっている。