今日読み終えた本

wakaba-mark2008-10-08

推定無罪 (上) (文春文庫)

推定無罪 (上) (文春文庫)

推定無罪 (下) (文春文庫)

推定無罪 (下) (文春文庫)

’88年、「このミステリーがすごい!」創刊号で海外編第2位。
ハリソン・フォード主演で映画化もされた、オールタイムベスト10にも名をつらねる
世界的ベストセラーである。
リーガル・サスペンスとして有名だが、本書の魅力は、主人公ラスティ・サビッチの
一人称叙述にあると言っていいだろう。
殺された女性検事補と実際に愛人関係にあった‘わたし’の彼女に対する狂おしいまでの愛、被告人として裁かれる立場となった‘わたし’が今まで信じたことのなかった神に祈る姿、そして実際の法廷シーンで見せる緊張の連続、これら‘わたし’の私的
・公的懊悩がすぐれた心理小説として読者の胸にダイレクトに響くのである。
一方で本書は、アメリカ中西部の架空の大都市を舞台にして、裁判の判事や検察官、証人たちを通して、政治的な司法制度そのものへの批判を含んだ社会小説としての側面も持っている。
私は、映画を先に観たので、プロットや真犯人を承知したうえで原作に挑んだが、
なかなかどうして、以上述べたような本書の魅力ゆえに、面白さのあまり文庫上・下巻あわせて708ページを一気読みしてしまった。
まさに本書は歴史に残る傑作である。