今日読み終えた本

闇の子供たち (幻冬舎文庫)

闇の子供たち (幻冬舎文庫)

映画化もされた、幼児売買、幼児売春、臓器売買の商品として扱われるタイの子供
たちを題材にした、梁石日ヤン・ソギル)の衝撃作。
物語はタイ北部山岳地帯の貧しい農家が、8才の少女を人買いに日本円にして
わずか約3万6千円とウイスキー1本で売るところから始まる。それから、まったく
もってひどい世界が次々と展開される。
本書では、外国人が売春宿で幼い子供を相手に性行為に及ぶ姿や、エイズに罹った少女が生きたままごみ処分場に捨てられる悲劇、貧しい子供が買われ、殺され、臓器のドナーにされている実態などが描かれる。それはあまりにもリアルで、思わず目を
背けたくなるほどにグロテスクですらある。しかし、これは、今まさにアジアの貧しい国で起こっているまぎれもない現実なのだ。
果たして悪いのは、幼児を売買する貧困家庭や人買いか、幼児を性の玩具とする人々か、そして幼児の臓器を扱うブローカーや、それを求める外国人か・・・。
梁石日は、この小説でおぞましい現実をストレートに描くことにより、自らの豊かな社会を保っている私たちに対して、厳しい問題提起をしているのである。