今日読み終えた本

掠奪の群れ (文春文庫)

掠奪の群れ (文春文庫)

本書は、世界大恐慌の時代のアメリカで、プロの銀行強盗として“自由”を謳歌した
‘おれ’ことハリー・ピアポントのワイルドな一代記である。
少年時代から盗みを働いていた‘おれ’は、銀行強盗をして捕まり、遂に長期の懲役刑を科されてしまう。2回目の監獄生活が決まって落ち込むが、そこで知り合った犯罪者たちと意気投合し、集団脱獄を画策する。何回かの失敗の末、より綿密な計画を練り上げ(1.監獄)、まんまと脱獄に成功した彼らは(2.脱獄)、集団で銀行を襲撃する
ギャング団になるのだった・・・(3.狂騒)。
そんな彼も年貢の納め時がやってくる。ふとしたことから捕まって、電気椅子による
死刑を宣告されてしまう。脱獄から数えて「おれが自由な男だったのは、きっかり
四ヶ月間だった。」(4.凋落)
ジェイムズ・カルロス・ブレイクは、ハリーの太く短い生涯を、史実を元にして、
死刑執行を翌日に控えた‘おれ’という一人称の回想という形で、見事な小説に
仕上げている。そこにあるのは、暗い時代にあって禁断の魅惑ともいえる“自由”を
追い求め、刹那的・享楽的に生きて、そしてそれに殉じて死んでいった若者の、
読むものを惹きつけて離さない“カッコいい”生き様なのである。