読書記録57
- 作者: 伊坂幸太郎
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2009/08/26
- メディア: 単行本
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いつもの伊坂作品のように独特の浮遊感があったり、人を喰ったようなエピソードや
サプライズがあったりするわけでもない。最後に収斂するオチがあるわけでもない。
評価するのが非常に難しい作品ではある。
しかし、生々しい表現や言動はあるものの、物語の視点・語り手を一人称、二人称、
三人称と各章ごとに変える工夫が施されているし、3人の魔女が現れたり、額に硬球が当たった痕がある獣が出てきたり、極めつけは背番号5の謎の人物が登場して
きたりと、並みの青春伝記小説とは異なる伊坂幸太郎らしさはうかがえる。
また、比較的短い物語であるが、ページを捲るスピードがはかどるリーダビリティーを持っている。
本書は、本の帯にあるように伊坂幸太郎の「新たなるファンタジーワールド」であり、
『伊坂ブランド』で読ませる、ある種の「寓話」と言えなくもない。