読書記録11

黄昏の狙撃手 (上) (扶桑社ミステリー)

黄昏の狙撃手 (上) (扶桑社ミステリー)

黄昏の狙撃手 (下) (扶桑社ミステリー)

黄昏の狙撃手 (下) (扶桑社ミステリー)

スティーヴン・ハンターの<ボブ&アール・スワガー>劇場第9弾。
テネシー州の州境にある町ブリストル。当地の新聞社で若手女性記者として活躍するボブの愛娘ニッキが、地元で蔓延する覚醒剤汚染の取材を終えての帰路に、正体
不明の殺し屋に車の体当たり攻撃を受けて意識不明に。報せを受けたボブは単身
現地に飛んだ。アメリカ最大のモータースポーツ・カテゴリーであるNASCARナスカー)の最高峰、スプリントカップ・カーレースを間近にひかえ、沸き立つ町で、ボブの調査が始まる。ニッキは取材中に一体何をつかんだために襲われたのか・・・。
かつてボブの父親アールが『悪徳の都』で死闘を演じたグラムリー一家の末裔が悪役として登場し、カーレースに臨んで大仕事をたくらんでいるらしい。前作『四十七人目の男』で、日本で刀傷を負い、髪も灰色となってしまった60代のボブは、一歩一歩その目論見に近づいてゆき、自らも狙われることになる。
本書では、グラムリー一家と謎の殺し屋、そして結末に現れる意外な黒幕と、ボブ
・リー・スワガーとの、その年齢を感じさせない壮絶なカー・バトルやガン・ファイトを
存分に楽しめる。舞台設定といい、主役をも凌駕するほどの悪役といい、その犯罪の大胆さといい、本書はかつてのサーガ的色彩の強かった<ボブ&アール・スワガー>シリーズの“その後の・現在の”ボブを描いた一大アクション・エンターテインメント
である。