読書記録61

アソシエイト〈上〉 (新潮文庫)

アソシエイト〈上〉 (新潮文庫)

アソシエイト〈下〉 (新潮文庫)

アソシエイト〈下〉 (新潮文庫)

ジョン・グリシャムが’09年に発表して、全米でベストセラーを記録したリーガル
・ミステリー。パラマウント・ピクチャーズで映画化も決定している。
名門イェール大学ロースクール卒業を目前にした25才のカイル・マカヴォイのもとにある男が現れる。彼はカイルが5年前の大学時代に関係した乱痴気騒ぎの果ての
レイプ事件の映像を持っており、脅迫するのだった。彼らはプロの工作員で、卒業後
ニューヨークの巨大法律事務所に就職して、アメリカ政府ペンタゴンも関係する軍需
産業をめぐる巨額訴訟の情報を盗むスパイ行為をカイルに強要する。
父親の期待を裏切り、当初の自身の計画を断念して首尾よく大規模法律事務所の
アソシエイトの職に就いたカイルだったが、何とか敵を出し抜くことはできないかと
激務の合間をぬって、当時の友人の力を借りながらも敵の正体を突き止めようとするのだが、敵は一枚も二枚も上手だった・・・。
幾多のサブストーリーを挿みながら、物語はスピーディーにサスペンスフルに展開
する。ここで読者はカイルの身に起こる事件を追いかけながら、一方で軍需産業
めぐる巨大訴訟の闇、それらの案件を扱う巨大法律事務所の苛酷な勤務の実態、
FBIやCIAをも凌ぐ目的達成のためならば殺人もいとわない謎のプロ集団の存在などを知るのである。
本書は、グリシャムが出世作『法律事務所』の原点に久しぶりに帰った、
本格リーガル・サスペンスである。