読書記録62

荒野のホームズ、西へ行く (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1825)

荒野のホームズ、西へ行く (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1825)

『荒野のホームズ』に続く第2作。前作は、’08年、「このミステリーがすごい!」海外編で第9位にランクインしたが、本書は、’09年の同誌で惜しくも第21位と次点で、
ランクインを逃している。
前作で、とある牧場での密室殺人を解決したホームズかぶれの“オールド・レッド”と‘おれ’ことその弟の“ビッグ・レッド”の、舞台を鉄道に移しての痛快な冒険譚である。
1893年のアメリカ西部、仕事にあぶれた兄弟は、若い頃ピンカートン探偵社で名を馳せたという老人ロックハートの紹介で、サザンパシフィック鉄道の鉄道保安官の職に10ドルの報酬で就くことになり、さっそくオークランドヘ向かう列車に乗り込む。そこでさっそく走る列車内の殺人に遭遇する。
かの名探偵の魂を宿す“オールド・レッド”は列車酔いに悩まされながら調査と謎解きに乗り出す。ところがこの列車には一癖ありそうな乗客たちや乗務員たちと怪しげな
荷物が満載。
さらに巷で評判の列車強盗による襲撃や新たな殺人と、状況はめまぐるしく展開する。
本書は兄弟の掛け合いの面白さもさることながら、フーダニット・ミステリーとしての
魅力やラストの西部劇らしいアクションと列車上の闘い、また鉄道会社のスパイまで
現れ、ホッケンスミスのサービス精神がこれでもかと詰め込まれている。
本格+アクション+鉄道+西部劇+男気+兄弟の絆。これ以上なにが欲しいだろう。