読書記録79

犯罪ホロスコープ〈1〉六人の女王の問題 (光文社文庫)

犯罪ホロスコープ〈1〉六人の女王の問題 (光文社文庫)

’87年に『十角館の殺人』でデビューした綾辻行人をはじまりとする「新本格ムーブ
メント」第一期生で、有栖川有栖歌野晶午我孫子武丸らと並んでその代表的本格
ミステリー作家・法月綸太郎による、星占いの12星座のうち6つをそれぞれモチーフにした連作短編集。
初出は’04年から’07年にかけてミステリー専門誌『ジャーロ』など。
牡羊座ギリシャ羊の秘密:ホームレス殺人のヒントは犯人が漏らした言葉と発見者の盗まれたミリタリージャケットにあった・・・。
[牡牛座]六人の女王の問題:マンションから転落死したライターの残した不可解な
俳句。はたしてそれらに隠された意味は・・・。
[双子座]ゼウスの息子たち:山中湖のリゾートホテルで殺されたルポライター・実は
プロの恐喝屋と、双子同士で結婚したオーナー夫妻との関係は・・・。
[蟹座]ヒュドラ第十の首:巣鴨の霊園で発見された男の他殺死体。重要容疑者は
3人。そのうち真犯人は誰だ・・・、そして意外な結末が・・・。
[獅子座]鏡の中のライオン:獅子座生まれの「女王様」女優殺人事件は、その妹と
新人シナリオライターの存在と一組のピアス、そして歌舞伎が解決のキーを握って
いた・・・。
[乙女座]冥府に囚われた娘:水中毒で意識不明の植物状態になった女子大生。
一通の不可能なメールと熱中症で死んだ上級生が謎の広がりを見せる・・・。
いずれもエラリイ・クイーンに対するオマージュが盛り込まれ、根底にはそれぞれの
星座にまつわるお話が関係しており、短編といえども伏線がちゃんと張ってあり、
名探偵法月綸太郎が鮮やかに謎を解く、フーダニット本格パズラーの6連発が存分に楽しめる。