読書記録82

ミステリーのアンソロジーを編纂することにかけては第一人者のオットー・ペンズラーが、ジェフリー・ディーヴァーマイクル・コナリーといった11人の実力派作家に
呼びかけて集めた、これまでありそうでなかったトランプのポーカー・ゲームと犯罪とを組み合わせた書き下ろし傑作選。
印象に残った作品をいくつか・・・
『突風』ジェフリー・ディーヴァー:いまや落ち目の往年のTVスターが大規模なポーカーのライブ番組に出演することになった。スケールの大きなトリックとあっと驚くツイスト(どんでん返し)が冴える快作。
『一ドルのジャックポットマイクル・コナリー:シリーズ・キャラクター、ハリー・ボッシュが登場し、事件発生から4時間で、鮮やかに花形女性ポーカー・プレイヤー殺人事件の謎を解き明かす。『リンカーン弁護士』のミッキー・ハラーも名前だけ登場する。
『ポーカーはやめられない』パーネル・ホール:ゲーム中の殺人事件を解決する
ために、探偵は容疑者一同に再びポーカーをさせ、真犯人をあぶりだすという、
本アンソロジー中もっともポーカー・ゲームと犯罪を密接にからめた傑作。
イーストヴェイル・レディース・ポーカー・サークル』ピーター・ロビンスン:被害者の
他人には知られたくない裏の顔が事件解決の糸口になるパズラー。
本書は、以上の作品も含めて、切れ味抜群のクライム・ストーリー、本格パズラー、
警察小説、ユーモア・ミステリー、少女小説ノワール、ツイストの効いた異色作、
シリアスな復讐譚と、まさに人気作家の競演といった一冊で、ポーカーを知らない人
でも充分楽しめ、知っていればなお一層深く味わえること請け合いである。