読書記録8

暗闇 上 (ヴィレッジブックス)

暗闇 上 (ヴィレッジブックス)

暗闇 下 (ヴィレッジブックス)

暗闇 下 (ヴィレッジブックス)

アメリカ・サスペンス界の貴公子”コーディ・マクファディンによる、FBIロサンゼルス
支局・国立暴力犯罪分析センター(NCAVC)主任捜査官スモーキー・バレットを
ヒロインにした、『傷痕』『戦慄』に続くシリーズの第3弾。
第一部で、アメリカ次期大統領有力候補である下院議員の、男から性転換した娘が
飛行機の中で殺されて、‘わたし’ことスモーキーとチームは普段の管轄区域から
ワシントンDCに程近いヴァージニアに引っ張り出される。つぎに、更生した
元麻薬常習者兼売春婦兼AV女優の遺体がロサンゼルスで見つかる。被害者はともに何かの“シンボル”のように体に十字架を押し込まれていた。はじめはトップの政治がらみのポリティカル・スリラーかと思われたが、ここにおいて事態は急展開。
第二部にいたってインターネットの動画サイトで犯人と思われるプリーチャー(伝道者)と名乗る男からの犯行声明とも思われる動画が公開される。
前代未聞の、過去20年間に渡る100人を超える大量連続殺人が明らかになる
のだった。
この大量連続殺人の裏には、我々日本人には馴染みの薄いカトリックの教義と、
「告解」「懺悔」で告白される“個人の秘密”が潜んでいたのだが、常軌を逸した
なんともおぞましいグロテスクなものを感じる。
‘わたし’とチームのメンバーは、時に日常的な軽口を叩きあい、時に知られざる過去や胸に秘めていた苦悩を初めて明かしながら、全力で捜査に当たる。
本書は、これまでに類を見ない大量連続殺人と、‘わたし’と、その捜査チームの公私共々のキャラクターが融合した、ノンストップ・サスペンスである。