読書記録35

虚偽証人(上) (扶桑社ミステリー)

虚偽証人(上) (扶桑社ミステリー)

虚偽証人(下) (扶桑社ミステリー)

虚偽証人(下) (扶桑社ミステリー)

’93年『見られている女』で作家デビュー、第2作の『最後の訴え』で、アメリカにおけるミステリーの最高峰、「MWA(アメリカ探偵作家クラブ)賞」’95年度ベスト
・ペイパーバック・オリジナル(最優秀オリジナル・ペイパーバック賞)を受賞したリザ
・スコットライン。その後も『売名弁護』『逆転弁護』『代理弁護』(いずれも講談社文庫)などのリーガル・ミステリーを発表、今や中堅・ベストセラー作家である。
本書は、そんな彼女が’05年に上梓した12作目に当たる長編である。
舞台はペンシルヴェニア州フィラデルフィア。ヒロインは正義感あふれる新進の
連邦検事補ヴィッキ(ヴィクトリア)・アレグレッティ。ストーリーは、彼女が押し込み強盗の少年に銃を突きつけられるというショッキングなシーンで幕を開ける。実は検察局
から弁護士に転出した先輩から銃の偽装売買事件を引き継いで、冬のある夜にその秘密情報提供者に会いに行って思わぬ奇禍に遭遇したのだ。幸い彼女は無事だったが、相棒のATF(アルコール・タバコ・火気局)特別捜査官モーティが凶弾に倒れる。
そして妊娠中だった大事な証人も胎児ともども撃ち殺されてしまった。さらに証人宅
からは純度の高いコカインが見つかる。
信頼する相棒を殺されたヴィッキは、敵討ちとばかりに上司や組織の命も聞かずに
事件を追うのだが、それにはフィラデルフィアダウンタウンを根城にした大規模な
麻薬売買がからんでいた・・・。
ヴィッキとくだんの銃の売買事件の容疑者リヒーマが手を組んでの不法な捜査活動のスリル、彼女たちに襲いかかる危機、ヴィッキと同僚の妻帯者ダンとの禁断の
恋の行方、連続する殺人事件の恐怖と謎、思わぬ黒幕の正体とそのたくらみなど、
読みどころがぎっしり詰まっている。
本書は、ヴィッキをして「一週間のうちに一生分を生きたような」と思わせる、切れ目のない、一気読み必至のノンストップ・サスペンスである。