読書記録67

裏切りの代償 掃除屋クィン2 (RHブックス・プラス)

裏切りの代償 掃除屋クィン2 (RHブックス・プラス)

ブレット・バトルズによるフリーランスの<掃除屋−クリーナー−>ジョナサン・クィンの、’08年発表のシリーズ第2弾。’09年度、アメリカのミステリー専門季刊誌
≪デッドリー・プレジャー≫が主催するバリー賞の最優秀サスペンス賞受賞作である。
一週間につき3万ドル、それも二週間の契約が最低条件という報酬で、諜報工作の
現場から痕跡を消し去る<掃除屋>クィン。前作『懸賞首の男』のベルリンの事件からおよそ半年後の夏。クィンはサンフランシスコの輸出入業者から、輸送用コンテナに
入っていた死体を始末して欲しいという依頼を受ける。その死体は彼の命の恩人
であり親友でもある元CIA局員のマルコフだった。マルコフの死体を依頼どおり
<掃除>したが、当然それだけで納得・満足するはずもなく、彼は<掃除屋>の掟を破ってマルコフの非業の死を恋人ジェニーに知らせ、その死の真相を究明しようと
する。だが、ジェニーは勤務先の下院議員事務所に休暇をとっていた。テキサス州
ヒューストン、ワシントンD・Cの住まいを訪ねるのだが、そこにも彼女はおらず失踪してしまっていた。しかも彼女の存在と痕跡を消そうとする謎の一団と遭遇する。クィンはわずかな手がかりを頼りにジェニーを探し出し、瀕死のマルコフがコンテナ内部に
残した“暗号数字”をもとに、助手のネイト、相棒のオーランドを伴ってシンガポールへ飛ぶ。
一体何が起こっているのか。マルコフの死は。ジェニーはなぜ姿を消したのか。
ストーリーの展開をハラハラ・ドキドキしながら読み進んでもいっこうに見えてこない。
ようやく全561ページのうち469ページで初めて陰謀の真相と秘密犯罪機関≪LP≫なるものが明かされるのだが、まだそこから驚きの“どんでん返し”が用意されていた。
本書は、軽口の多かった前作とは味わいを異にした、それをはるかに凌ぐ、スリルに満ちた、“暗号”“秘密犯罪機関”“暗殺”“ハイテク”“逃亡”“ガン・ファイト”などなど・・・サスペンスの要素てんこ盛りの新スパイ・アクションである。